CASE事例紹介

不動産相続では、思わぬ相続
(争族・争続)がつきものです。
事前に事例を知ることで、
対策することができます。

不動産相続事例

「多数の不動産を所有してるが、収益も悪く兄弟分割も難しい場合の相続」

ご相談にいらっしゃった不動産オーナーのW様ご夫婦は、60代の仲のよいご夫婦です。
W様のお父様は既に他界されており、ご夫婦にお子様はいらっしゃいません。
ご兄弟はW様には弟様が2人いらっしゃいます。
W様の弟2人は、それぞれ近隣に住んでおり普段はあまり行き来することはありませんが、仲は悪くありません。

お持ちの資産は800坪の敷地に母屋(お母様宅)とW様のご自宅が建っています。その他に、賃貸アパートが5棟、太陽光発電をお持ちです。

お母様は現在お元気で暮らしていますが、万が一を考えて遺言を書いておこうとしたのですが、いざとなるとどう書いていいのか分からなかったそうです。
そのことがきっかけで、お母様はW様ご夫婦に相談し、将来を考えて今のうちに相続対策をしようと、3人でご相談にいらっしゃいました。

お父様が無くなった時に自宅はお母様が、その他の不動産はすべてW様が相続しました。
その際、2人の弟様には現金で分割をしています。

しかし、今度は状況が異なります。下の弟様は現在結婚していますが、賃貸住まいのため、「自分の家が欲しい」とよく言っているそうです。
お母様が無くなった時には、下の弟様は不動産を欲しがるでしょうし、そうなると上の弟様も欲しがると思われます。今回も現金で分割するか、あるいは土地を渡すべきか、W様は悩んでいました。

5棟ある賃貸アパートですが、現在空室が増えてきており家賃も下がっている状況です。
これをそのままにしておくのはもらう側にとってもお荷物になるだけで、むしろ赤字であれば大きな負担になります。
W様は、どの不動産を渡すにしても、自分達に残すとしても、兄弟ですからみんなが幸せになる分け方をしたいと望んでおり、この機会にこの賃貸アパートについても改善を施したいと考えていました。

まずW様の所有財産の内容と相続評価、市場評価(価値)、収益性の現状を把握するため、ROA診断をおすすめしました。
ROAとは、Return on Assetsの略で事業に投下されている資産に対して利益がどれくらいあるかを示した指標です。その資産がどれだけ効率性があるかを測ることができます。
W様、奥様、お母様にそのことを説明すると、「ぜひやって欲しい」とおっしゃっていただき、提出された必要な書類からROAを作成しました。

そのことで、まずは資産状況が全て見える化され、W様も現状をはっきりと把握することができましたが、そこで分かったことは、W様の資産はほぼ不動産で分割ができないということでした。
そして所有する不動産は多いのですが、収益が悪化しているということも分かりました。
このままではW様の望む幸せな相続ができないので、総合的な資産構成の改善案を考えることにしました。

W様が保有する賃貸アパートを実際に見にいってみると、アパート3棟は入り口が道路に面しているのですが、後の2棟はグルッと回らないと入り口には入れない造りとなっていました。
一方でその付近にある母屋は老朽化が進み、高齢のお母様が住むには寒く住みづらい家となっていました。

そこで母屋を改修すると同時に、母屋とアパート5棟の領域を整理し、奥のアパートに入りやすいように動線を作ることを提案しました。
そうすることで、賃貸アパートの空室率と、母屋の老朽化の両方の問題を解決できます。
これにはW様もご納得いただくことができました。

また、近隣の太陽光発電についても、収益率が悪いということが問題となっていましたので、
太陽光発電については、賃貸アパートを建てて別の土地活用をすることをご提案しました。
収益シミュレーションの結果、賃貸アパートの方が利益が出そうだと言うことでこちらもW様は快諾されました。母屋の次はこちらに取り掛かることになりました。
これらにより、資産を相続した後にはどれくらいの利益が出るかが誰が見ても分かる状態となりました。
この状態でW様兄弟の分割案を考え、兄弟間できちんと話し合うことができたそうです。

一言で賃貸アパートがあると言っても、それを相続した際に収益はどうなのか、結局負債を抱えることにはならないかというように、後のことを考えて相続を考える必要があります。
特に、兄弟への分割予定がある場合などは、事前にお互い収支を理解した上で相続を行わないと、揉めることにもなりかねません。
今回の事例のようにROAを作成することはおすすめです。第三者が見てもその資産の収益性を理解することができます。

ROAを作成してみると、どうやら収益性が悪い・赤字になる資産がある可能性もあります。負債が発生しそうな資産はそのままにせず、やはり改善したいですよね。
これを機会に、せっかくの資産を有効活用できないか手段を考えてみましょう。場合によっては売却や土地活用など色々な方法があります。
もちろん諸費用などを考慮すると現時点では土地活用をしないほうが良い場合などもありますので、きちんとシミュレーションすることが大切です。

不動産相続事例

「財産の中身の把握と分割の仕方で節税にも繋がる」

不動産オーナーであるO様(78歳)は、現在奥様と2人で暮らしており2人のお子様がいらっしゃいます。
300~400坪の土地を多数、その他複数の借地権を保有しているO様ですが、その土地であまり収益を得られていない状態です。そして今は元気に過ごしていますが、ご自分の年齢を考えてそろそろ不動産相続についても考えなければと感じています。
O様は保有している財産が多いわりに全体の収益比率は悪く、土地を有効活用できていない状態でした。全く利用せず持て余している土地もあり、この土地を使って効率よく収入を得たいと思っています。
また複数の遊休地・貸地・借地権を保有しているO様は、それぞれの資産をどのような形で奥様とお子様に分けるのがいいのか、それに加えて節税対策なども知りたいと思いご相談にいらっしゃいました。
はじめに、土地の相続についてO様は、奥さまとお子様に土地を平等に分割して分ければ問題ないと考えていましたが、「財産の分け方を間違えると節税にも失敗する」ということをご説明しました。
例えば、財産が1億6000万円あり、配偶者と子ども2人に財産を分けるとします。一次相続では配偶者が全ての財産を相続すれば、相続税はゼロになります。これは「配偶者の税額軽減」という、夫婦間で財産を相続する場合は1億6千万円までは相続税は課税されないという制度があるからです。
それならば、とりあえず財産は配偶者が全部相続するのが良いと思ってしまいがちですが、この制度を利用して多額の財産を相続した配偶者が亡くなれば、子供たちに二次相続が発生します。子供は配偶者ではないので、多額の財産の相続税を払うことになるのです。
配偶者がまだ若い場合は、一次相続で全部財産を相続しその後何らかの節税対策をすることも可能ですが、配偶者が高齢で一次相続の後すぐ亡くなった場合、二次相続で払う相続税は高額になってしまいます。
このように、配偶者の年齢によっても財産をどう分けるかで節税に失敗してしまうこともあり、相続においては二次相続まで見据えた最適な分配比率を考える必要があります。
また、財産の中身を分析せず比率だけを考えて財産を分けることは危険です。
また、O様はこれからの遺産相続の相談も大事ですが、現在の保有財産からの収益をあげることがまず最優先と考えていましたので、しっかりと保有している財産の中身がどういうものなのか分析する必要があります。
財産の中身を分析するために「財産分析書」を作成しました。そして分析をして財産を分類したところ、保有している土地のうち400坪規模の遊休地2つと200~300坪の貸地3つの収益性が低いことが分かりましたので、貸地の底地処理と、それにより得た収益での土地活用を提案しました。
複数の土地を所有していても、立地条件などによって資産価値は変動します。所有している土地がどのような土地なのかをしっかりと把握しておかなければ、その土地から得られる利益がどれくらいなのかを理解することはできません。
O様のように土地を活用することなく持て余してしまっている人も多いと思います。不動産の知識がないばかりに悪い不動産業者の言われるがままに土地を安く売ってしまい、損をすることもあるかもしれません。
そのようなことがないように、客観的に財産を分析してデータ化し、不動産の知識がない人でも分かりやすく納得のいく説明をしてくれる不動産のプロを見つけ、相談することが大切です。また、相続の際も財産の分け方を間違えれば節税にも失敗してしまう可能性がありますので、複数所有している土地のそれぞれの価値を理解できていれば、正しい分配比率で相続人に分配することができます。
財産の中身を分析することは、遺産を相続することになった相続人にとっても大切なことです。もし自分が相続人になる場合は、その財産の中身がどのようなものなのかをまず把握するようにしましょう。
相続というと、お金や土地を引き継ぐというプラスのイメージがあると思いますが、相続はプラスだけでなく、借金などのマイナスの遺産も引き継がれます。また、土地は所有するだけで固定資産税を払う必要があります。
相続した土地が利用価値があまりないなければ、負担だけが発生する場合もあるので、遺産相続をした場合はまず遺産の中身を分析し、有効に活用しましょう。

不動産相続事例

「自筆証書遺言と公正証書遺言の違い」

今回ご相談に来られた60代のF様は、先月お母様を亡くされました。お父様は3年前にすでに他界されています。
F様は長女で兄1人と弟2人がおり、皆家庭を持って別々に暮らしています。昔からあまり仲が良いとは言えず、実家を出てからは4人そろって会うことはほとんどありませんでした。亡くなったお母様の資産は、預貯金600万円と不動産5500万円になります。
F様のお母様がお亡くなりになってから数日後、長男であるK様から「母が書いた遺言書があったので、裁判所に来てほしい」という連絡がありました。そこで遺言書を見てF様は大変驚きました。
自筆の遺言書が見つかった場合、発見した相続人は遺言書を家庭裁判所に提出し、「遺言書の検認」の手続きをする必要があります。封印されている遺言書は勝手に開封をしてはならず、裁判所に検認を申し立て、相続人の立ち合いのもと家庭裁判所で開封し内容を確認することになっています。
お父様が亡くなられた時も遺言書があり検認を行ったので、今回も同様と思いF様は裁判所に向かいました。そして裁判所で出された遺言書には「現金は子供4人で均等に分ける」「不動産は長男と次男だけで分ける」と書かれていました。
この内容は長男のK様と次男にとって明らかに都合がよいものになっているため、F様は納得がいきませんでした。しかも、F様のお母様は認知症気味でしたので、この遺言書が本当にお母様の意思かどうか疑わしいと感じられたのです。F様は、長男のK様が、自分に都合のよい内容を、認知症気味だった母に無理やり書かせたのでないかと考えました。
遺言書を書くのは多くの場合が高齢者ですので、その中には認知症の疑いがある方や、判断能力が低下している方もいらっしゃいます。遺言書が有効と判断されるためには、書いた本人が遺言を残す時点で「遺言能力」を備えている必要があります。「遺言能力」とは、遺言の内容を理解し、その結果どうなるかも判断できる能力のことです。この遺言能力がない者が作成した遺言書は、無効となってしまいます。さて、今回のFさんの場合はどうでしょうか。
F様のお母様が残された遺言書は自筆でした。自筆の遺言書は一人で書くことができますので、それを書いた時点で認知症だったのか、また誰かに書かされたのかなどを立証できる人がいないため、遺言書が有効かどうか判断することが難しくなります。納得のいかないF様は公的に判断してもらうほかに方法はないと思い、裁判を起こすことに決めました。
このような自筆証書遺言が引き起こすトラブルというのは珍しいことではありません。このようなトラブルを避けるためにも、遺言書は公正証書遺言を作成しておくことをおすすめします。
公正証書遺言とは、公証役場で公証人に書いてもらう遺言のことをいいます。証人が2人以上立ち合い、遺言者が口で伝えた内容を公証人が筆記し作成します。遺言書を残す場合は、自分の判断能力に少しでも不安がある場合は公正証書遺言で作成したほうが良いでしょう。公証人と証人2名がいますので、遺言を残した時点で遺言能力があったかどうかなどの争いを避けられる可能性が高くなります。
また自筆証書遺言は遺言能力があるかないかの問題以外にも、日付がない・押印がないなど様々な理由で無効になってしまう場合も多くあります。公正証書遺言は法律のプロが作成するため、このような形式の不備で無効になるといった心配もありません。
今回F様のケースのように、自筆の遺言書というのは実はとてもトラブルを起こしやすいものなのです。書いたのは本人なのか?誰かに書かされたのではないか?判断能力はあったのか?など、信憑性に欠けるため、争いに発展しかねません。手軽に自分一人で作成できるというメリットはありますが、その分内容の不備があり無効になるといったことも珍しいことではありません。公正証書遺言であれば絶対に無効にならない、トラブルが起こらないというわけではありませんが、このようなことを避けられる可能性は自筆証書遺言に比べれば、はるかに高いといえます。
いざ遺言書を書こうと思っても、どのように書くのか、どのような種類のものがあるのかを知らない人は多いと思います。せっかく遺言書を残しても、その効力が認められなかったり、親族同士の争いが起きてしまったら元も子もありません。出来る限り安全で確実な遺言書を作ることが大切です。