CASE事例紹介

不動産相続では、思わぬ相続
(争族・争続)がつきものです。
事前に事例を知ることで、
対策することができます。

不動産相続事例

「相続したけど手続きは何もせず、相続税も払っていない」

2年前にご主人をなくされた、84歳のKさんには3人のお子様がいらしゃいます。K様は相続について勉強したことがなく、知識がないので全く分からないという状態で、ご主人が亡くなられてからの2年間何も手続きをしていませんでした。
保有されている資産は、駅の近くにあるご自宅と700坪の農地です。
相続について何も知識がなかったK様は、ご主人が亡くなり、相続についてそろそろ何かしなければならないなぁ・・・となんとなく思ってはいても、何をすれば良いのか分からないまま2年以上経ってしまいました。
そんな時、たまたまテレビを見ていたK様は相続税は10ヵ月以内に納税しなければならないということを知り、ご相談にいらっしゃいました。
本来、相続税の申告と納税は被相続人が死亡してから10ヵ月以内に行うことになっています。調査が入れば、「知らなかったから過ぎてしまった」では済まされません。
ご主人が亡くなって2年以上経っているので、早く払う必要がありますが、K様は現金をそんなに多く持っていません。
相続税はいくらぐらいになるのだろと、K様は不安を感じていました。
700坪の農地は、もともとご主人が兄と共有で持っていたものでした。
ご主人が亡くなってから何も手続きをしていなかったので、ご主人の持ち分は、K様とお子様3人とで相続したことになっていて、今はひとつの農地をご主人の兄を含めた5人で保有している状態です。
しかし後々K様自身が亡くなることを考えると、土地はお子様たちとその叔父にあたるご主人の兄が共有するといういびつな状態になります。
そうなると、事情も分からないお子様たちが叔父様と土地をどのようにするかと、話し合いをするのも大変です。
話がまとまらずに土地は放置することになってしまったり、トラブルを抱えることになったりするかもしれません。
相続税の資金問題に関しては、まずは金額を確認する必要があります。
提携している税理士に確認すると、支払う金額は50万程度であることが分かりました。
50万円であればK様も払えない金額ではなく、これにはK様もホッと一安心されていました。
そのため、相続税の資金に関しては何も問題がなくなり、K様はすぐに手続きを済ませました。
相続税については問題がなかったものの、ご主人の兄が共有名義に入っている土地に関しては、早めに対処をしておいた方がよさそうです。
話を詳しくお聞きすると、K様は今、離婚して家に戻ってきた長女とその子供(孫)2人とで、合わせて4人で暮らしているのですが、生活資金に困っていて、それについては他の2のお子様も心配しているようでした。
そこで、土地を売却し現金化してはどうかとご提案しました。
K様の農地は700坪の広さがあり、駅の近くにあります。住宅地にすれば好立地で需要もあります。これにはK様もお子様たちも納得されて、K様のお兄様にも提案内容について丁寧にご説明し、賛成していただけました。
その後はとんとん拍子で話が進み、トラブルなく無事に相続手続きを済ませることができました。
相続についての知識がほとんどゼロの状態だったK様。
ご相談前に税務署から連絡が来ていたら、何もわからず法定通りに土地を分けることになっていたでしょう。
後々、事情も分からないお子様たちが叔父様と話し合いをしたものの、話がまとまらずにトラブルを抱えることになっていたかもしれません。
早めに対応をしなければ、このように手続きがどんどん複雑になっていくのです。
そして、時間が経てば経つほど状況も変わっていきます。
相続人が亡くなりその子供に権利が移れば、相続人が増えることもありますし、例えば相続人の1人が認知症を患った場合は・・・などのリスクは増すばかりです。
このように相続の手続きは放置して長い期間が過ぎると、思わぬトラブルが起こる可能性があります。トラブルを未然に防ぐためにも、期限の10ヵ月以内、なるべく早いうちに手続きを行いましょう。

不動産相続事例

「引き継ぎ手のいない農地の悩みは贈与で解決」

ご主人と息子さんとの三人家族のT様。90歳を超えるT様のご主人のお父様は、現在いくつかの農地を保有しており、年齢的にも相続が近いとT様は感じていますが、ご主人も糖尿病で現在入院しており、相続が発生した時が不安のようです。
お義父様は保有されている資産はご自宅と多数の農地です。現在、農地は人にお貸ししています。
今回のT様の場合、法定相続人への農地の相続になるので、農地の名義変更を行うとき農業委員会の許可は不要ですが、農業委員会へ届出をする必要があります。届出は、相続発生から10ヵ月以内に行わなければならない決まりがあり、その期限を過ぎると、10万円以下の罰金が課せられる場合があるので要注意です。
また、農地は農業に使う前提の土地なので、転用する場合には農業委員会の許可が必要になりますし、例えば宅地として使用するには地盤の改良やライフラインの整備など工事が必要になることもありますので、推定相続人が農家以外の場合は、生前に対策を考えておく必要があります。
農地の相続には、農業の継続や農地法の問題もあると知ったT様は、お義父様が元気なうちに農地の売却も視野に入れ始めました。
農地は利用目的や売買が制限されており、農家ではない人が農地を相続しても、活用できないケースが増加しています。
農業の継続や農地法の問題から、現在お義父様が保有している農地を管理しきれるか不安に思ったT様は、農地を売却することをお義父様にご提案されましたが、お義父様は土地を売ることには消極的で、お金はいらないとおっしゃいました。
そこで、T様のお義父様は、現在多数の農地を保有しておりますので、相続対策をするために600坪の農地を不動産会社へ一度売却し、その資金で、路線価の高い土地に借家を建てて頂くというご提案をしました。そして建てた借家を相続時精算課税制度を使ってお孫さんに贈与するという内容です。
相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。
この制度には2500万円の特別控除があるため、相続財産を生前に2500万円まで税金を払わずに前渡しすることができます。
すなわち相続時精算課税制度を利用することで、多額の金銭等の贈与を生前に行ったとしても贈与税の負担がなく財産の移行を行うことができます。
今ある農地を売却し、新たに土地を購入しT様の息子さんへお義父様がお元気なうちに生前贈与するという、農地の売却を考え始めていたT様の考えと、土地を売ることに消極的であったT様のお義父様の考え、双方の意見を取り入れた提案により、T様の相続に対する不安は払拭され、一番良い方法で相続の手続きをすることができました。
相続時精算課税制度は、高齢者から資産の贈与を行った場合に2500万円までの贈与が非課税になる制度のことです。高齢者が保有している財産を早いうちに若い世代に移行させ、財産を贈与された側がそれを使うことによりお金を循環させ経済活性化を図ろうという目的でつくられました。
一見お得そうに感じる制度ですが、110万円の贈与が毎年非課税になる「暦年贈与」を使えなくなる・申告の手間が増えるなどの色々な注意点もありますので、場合によっては全く節税対策にはならないこともあります。しかし、この制度を使ったほうが得をするケースも勿論あります。
相続時精算課税制度を利用したほうが良いケースとしてあげられるのは、賃貸物件がある場合です。
賃貸物件を贈与した場合は毎月の家賃収入は贈与を受けた側のものになるため、収益分は相続財産にはならず相続税がかかりません。
今回のT様のケースでは90歳を超えるT様のお義父様は多数の農地を保有していましたが、最初は「お金はいらない」という理由で農地を売却することを拒否されていました。
T様のご主人も糖尿病を患っており、多数の農地を管理できずにせっかくの土地を持て余してしまうかもしれませんでした。
しかし、農地を売却し賃貸物件を建ててそれをお孫さんに相続することにより、お孫さんは早いうちから家賃収入を得ることができるようになります。
お金はもうそんなに必要ない、とおっしゃっていたお義父様が農地を保有している状態よりも土地を有効活用できて利益を生み出せるうえに、節税対策にもなるということです。

不動産相続事例

「財産の中身の把握と分割の仕方で節税にも繋がる」

不動産オーナーであるO様(78歳)は、現在奥様と2人で暮らしており2人のお子様がいらっしゃいます。
300~400坪の土地を多数、その他複数の借地権を保有しているO様ですが、その土地であまり収益を得られていない状態です。そして今は元気に過ごしていますが、ご自分の年齢を考えてそろそろ不動産相続についても考えなければと感じています。
O様は保有している財産が多いわりに全体の収益比率は悪く、土地を有効活用できていない状態でした。全く利用せず持て余している土地もあり、この土地を使って効率よく収入を得たいと思っています。
また複数の遊休地・貸地・借地権を保有しているO様は、それぞれの資産をどのような形で奥様とお子様に分けるのがいいのか、それに加えて節税対策なども知りたいと思いご相談にいらっしゃいました。
はじめに、土地の相続についてO様は、奥さまとお子様に土地を平等に分割して分ければ問題ないと考えていましたが、「財産の分け方を間違えると節税にも失敗する」ということをご説明しました。
例えば、財産が1億6000万円あり、配偶者と子ども2人に財産を分けるとします。一次相続では配偶者が全ての財産を相続すれば、相続税はゼロになります。これは「配偶者の税額軽減」という、夫婦間で財産を相続する場合は1億6千万円までは相続税は課税されないという制度があるからです。
それならば、とりあえず財産は配偶者が全部相続するのが良いと思ってしまいがちですが、この制度を利用して多額の財産を相続した配偶者が亡くなれば、子供たちに二次相続が発生します。子供は配偶者ではないので、多額の財産の相続税を払うことになるのです。
配偶者がまだ若い場合は、一次相続で全部財産を相続しその後何らかの節税対策をすることも可能ですが、配偶者が高齢で一次相続の後すぐ亡くなった場合、二次相続で払う相続税は高額になってしまいます。
このように、配偶者の年齢によっても財産をどう分けるかで節税に失敗してしまうこともあり、相続においては二次相続まで見据えた最適な分配比率を考える必要があります。
また、財産の中身を分析せず比率だけを考えて財産を分けることは危険です。
また、O様はこれからの遺産相続の相談も大事ですが、現在の保有財産からの収益をあげることがまず最優先と考えていましたので、しっかりと保有している財産の中身がどういうものなのか分析する必要があります。
財産の中身を分析するために「財産分析書」を作成しました。そして分析をして財産を分類したところ、保有している土地のうち400坪規模の遊休地2つと200~300坪の貸地3つの収益性が低いことが分かりましたので、貸地の底地処理と、それにより得た収益での土地活用を提案しました。
複数の土地を所有していても、立地条件などによって資産価値は変動します。所有している土地がどのような土地なのかをしっかりと把握しておかなければ、その土地から得られる利益がどれくらいなのかを理解することはできません。
O様のように土地を活用することなく持て余してしまっている人も多いと思います。不動産の知識がないばかりに悪い不動産業者の言われるがままに土地を安く売ってしまい、損をすることもあるかもしれません。
そのようなことがないように、客観的に財産を分析してデータ化し、不動産の知識がない人でも分かりやすく納得のいく説明をしてくれる不動産のプロを見つけ、相談することが大切です。また、相続の際も財産の分け方を間違えれば節税にも失敗してしまう可能性がありますので、複数所有している土地のそれぞれの価値を理解できていれば、正しい分配比率で相続人に分配することができます。
財産の中身を分析することは、遺産を相続することになった相続人にとっても大切なことです。もし自分が相続人になる場合は、その財産の中身がどのようなものなのかをまず把握するようにしましょう。
相続というと、お金や土地を引き継ぐというプラスのイメージがあると思いますが、相続はプラスだけでなく、借金などのマイナスの遺産も引き継がれます。また、土地は所有するだけで固定資産税を払う必要があります。
相続した土地が利用価値があまりないなければ、負担だけが発生する場合もあるので、遺産相続をした場合はまず遺産の中身を分析し、有効に活用しましょう。

不動産相続事例

「自筆証書遺言と公正証書遺言の違い」

今回ご相談に来られた60代のF様は、先月お母様を亡くされました。お父様は3年前にすでに他界されています。
F様は長女で兄1人と弟2人がおり、皆家庭を持って別々に暮らしています。昔からあまり仲が良いとは言えず、実家を出てからは4人そろって会うことはほとんどありませんでした。亡くなったお母様の資産は、預貯金600万円と不動産5500万円になります。
F様のお母様がお亡くなりになってから数日後、長男であるK様から「母が書いた遺言書があったので、裁判所に来てほしい」という連絡がありました。そこで遺言書を見てF様は大変驚きました。
自筆の遺言書が見つかった場合、発見した相続人は遺言書を家庭裁判所に提出し、「遺言書の検認」の手続きをする必要があります。封印されている遺言書は勝手に開封をしてはならず、裁判所に検認を申し立て、相続人の立ち合いのもと家庭裁判所で開封し内容を確認することになっています。
お父様が亡くなられた時も遺言書があり検認を行ったので、今回も同様と思いF様は裁判所に向かいました。そして裁判所で出された遺言書には「現金は子供4人で均等に分ける」「不動産は長男と次男だけで分ける」と書かれていました。
この内容は長男のK様と次男にとって明らかに都合がよいものになっているため、F様は納得がいきませんでした。しかも、F様のお母様は認知症気味でしたので、この遺言書が本当にお母様の意思かどうか疑わしいと感じられたのです。F様は、長男のK様が、自分に都合のよい内容を、認知症気味だった母に無理やり書かせたのでないかと考えました。
遺言書を書くのは多くの場合が高齢者ですので、その中には認知症の疑いがある方や、判断能力が低下している方もいらっしゃいます。遺言書が有効と判断されるためには、書いた本人が遺言を残す時点で「遺言能力」を備えている必要があります。「遺言能力」とは、遺言の内容を理解し、その結果どうなるかも判断できる能力のことです。この遺言能力がない者が作成した遺言書は、無効となってしまいます。さて、今回のFさんの場合はどうでしょうか。
F様のお母様が残された遺言書は自筆でした。自筆の遺言書は一人で書くことができますので、それを書いた時点で認知症だったのか、また誰かに書かされたのかなどを立証できる人がいないため、遺言書が有効かどうか判断することが難しくなります。納得のいかないF様は公的に判断してもらうほかに方法はないと思い、裁判を起こすことに決めました。
このような自筆証書遺言が引き起こすトラブルというのは珍しいことではありません。このようなトラブルを避けるためにも、遺言書は公正証書遺言を作成しておくことをおすすめします。
公正証書遺言とは、公証役場で公証人に書いてもらう遺言のことをいいます。証人が2人以上立ち合い、遺言者が口で伝えた内容を公証人が筆記し作成します。遺言書を残す場合は、自分の判断能力に少しでも不安がある場合は公正証書遺言で作成したほうが良いでしょう。公証人と証人2名がいますので、遺言を残した時点で遺言能力があったかどうかなどの争いを避けられる可能性が高くなります。
また自筆証書遺言は遺言能力があるかないかの問題以外にも、日付がない・押印がないなど様々な理由で無効になってしまう場合も多くあります。公正証書遺言は法律のプロが作成するため、このような形式の不備で無効になるといった心配もありません。
今回F様のケースのように、自筆の遺言書というのは実はとてもトラブルを起こしやすいものなのです。書いたのは本人なのか?誰かに書かされたのではないか?判断能力はあったのか?など、信憑性に欠けるため、争いに発展しかねません。手軽に自分一人で作成できるというメリットはありますが、その分内容の不備があり無効になるといったことも珍しいことではありません。公正証書遺言であれば絶対に無効にならない、トラブルが起こらないというわけではありませんが、このようなことを避けられる可能性は自筆証書遺言に比べれば、はるかに高いといえます。
いざ遺言書を書こうと思っても、どのように書くのか、どのような種類のものがあるのかを知らない人は多いと思います。せっかく遺言書を残しても、その効力が認められなかったり、親族同士の争いが起きてしまったら元も子もありません。出来る限り安全で確実な遺言書を作ることが大切です。